住宅ローン減税 確定申告の手引き/必要書類
確定申告書にマイナンバーの記載が必須となった
コロナ禍による出口の見えない混沌とした日常が続くなか、マイナンバーカードに注目が集まっています。
なぜかというと、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自粛生活を強いられた各家庭を支援すべく、政府が一律で1人10万円を支給する「特別定額給付金」事業を施行したからです。そのオンライン申請にマイナンバーカードが必要となりました。
マイナンバーとは、われわれ国民全員(一定条件の外国人も含む)に割り振られた12ケタの個人番号で、その個人番号とともに住所や氏名、顔写真などが掲載されたプラスチック製ICチップ付きカードがマイナンバーカードです。
実は、このマイナンバー(12ケタの個人番号)は住宅ローン減税の確定申告時にも必要となります。2016年1月からマイナンバーの利用が開始されたことで、確定申告書にマイナンバーを記載しなければならなくなったからです。そのため、記載された12ケタの番号が本人のマイナンバーと間違いないかを照合するため、マイナンバーカードの有無に応じて、以下の追加書類を用意しなければならなくなりました。
マイナンバーを照合するための必要書類
《マイナンバーカードを持っている人》
マイナンバーカードのコピーを添付書類台紙に貼付して確定申告時に提出するか、あるいはカードの原本を申告書類の提出時に税務署で提示する方法により照合します。マイナンバーカードの用意だけで事足ります。
《マイナンバーカードを持っていない人》
通知カードと身元確認書類(運転免許証やパスポート、公的医療保険の被保険者証など)を同時に用意する必要があります。そして、両方のコピーを台紙に貼付して確定申告書類と一緒に提出するか、あるいは、原本を窓口で提示することにより照合します。
【補 足】
2020年5月25日以降、通知カードの取り扱いが変更されました。制度の改正により、通知カードを紛失しても再発行されなくなりました。また、引っ越しに伴い住所が変わった場合など、通知カードの記載内容に変更が生じると、それ以降、通知カードは照合のための書類として使えなく(無効)なります。代わりに、マイナンバー入りの住民票を照合書類として取得する必要があります。
なお、通知カードに記載された氏名や住所に変更がなければ、引き続き通知カードをマイナンバーを照合するための書類として利用できます。
新築住宅を取得した場合の必要書類
ここからは、マイホームを新築または新築住宅を取得した場合の必要書類を案内します。
- 確定申告書(住宅借入金等特別控除額の計算明細書を含む)
- 住宅ローンの年末残高証明書(借りているローンの本数分)
- 源泉徴収票(※給与所得者の場合)
- 登記事項証明書(土地・建物の登記簿謄本のこと)
- 売買契約書の写し、あるいは、建物の請負契約書の写し
- 建築条件付きで住宅を取得した人は、敷地の分譲に係る契約書等で、契約において一定期間内の建築条件が定められていることを明らかにする書類の写し
※給与所得のある人について、2019年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。ただし、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署へ来署する際にはご持参ください。
さらに、住宅が「長期優良住宅」あるいは「低炭素住宅」の場合は次の書類が追加されます。
《長期優良住宅の場合》
- 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書または認定長期優良住宅建築証明書
《低炭素住宅の場合》
- 低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書または認定低炭素住宅建築証明書
長期優良住宅・低炭素住宅いずれも、その機能や性能が認定基準を満たしているかどうかを税務署は上記の書類により判定します。というのも、一般住宅より住宅ローン減税の最大控除額が多くなるためです。「認定住宅」であることを証明する書類が、別途、必要になるのです。
中古住宅を購入した場合の必要書類
続いて、今度は中古住宅を購入した場合の必要書類です。
- 確定申告書(住宅借入金等特別控除額の計算明細書を含む)
- 住宅ローンの年末残高証明書(借りているローンの本数分)
- 源泉徴収票(※給与所得者の場合)
- 登記事項証明書(土地・建物の登記簿謄本のこと)
- 売買契約書の写し
※前段、「新築住宅を取得した場合の必要書類」を参照
中古住宅を購入して住宅ローン減税を受けようとする場合、その住宅の「築年数」がローン減税の適否に大きく関係してきます。「木造住宅は築20年以内」「マンションは築25年以内」という適用条件があるからです。
- 木造住宅などの非耐火建築物:取得日時点で築20年以内
- マンションなどの耐火建築物:取得日時点で築25年以内
しかし、上記の築年数にかかわらず、「耐震基準に適合していることが証明された住宅」であれば、住宅ローン減税が受けられるようになっています。以下の(1)(2)(3)(4)いずれかの書類を提出できれば、築年数要件に縛られずに税還付が受けられます。
《耐震基準に適合していることを証明するための書類》
- 建築士や指定確認検査機関などによって作成された耐震基準適合証明書
- 登録住宅性能評価機関によって作成された建設住宅性能評価書(耐震等級を取得したもの)の写し
- 既存住宅売買瑕疵(かし)担保責任保険契約にかかる付保証明書
- 請負契約書の写し(耐震基準に適合するための耐震改修であること)
補助金の交付や贈与の特例を受けた場合の追加書類
最後、補助金や助成金をもらった人、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けた人は、さらに追加の書類の提出が求められます。
《補助金や助成金、贈与の特例を利用した人が提出する書類》(新築・中古共通)
- 交付を受けた補助金や助成金の額を証する書類
- 住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けた部分の金額が分かる書類
2011年度税制改正により、住宅の取得に関して補助金や助成金の交付を受けた場合や、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用した場合、これらの額を住宅取得価格から控除して住宅ローン減税の還付額を計算するよう見直されました。これにより、該当者には追加の書類の提出が義務付けられています。2011年6月30日以降に契約を締結した人が対象となります。
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新型コロナウイルスの感染拡大により、住宅ローン減税は弾力措置が講じられています。住宅ローン減税の還付請求を諦める必要はないのです。慌てることはありませんので、マイペースで手続きを進めてください。
【関連サイト】
- 一般住宅の新築あるいは購入した場合 (国税庁)
- 中古住宅を取得した場合の住宅ローン減税(国税庁)